HOW TO DRAW

『脳の右側で描け』ワークブック ベティ・エドワーズ著【要約・描いてみた】

どうも、くまきちです。
私は漫画のアシスタントの仕事をしています。HOW TO DRAWのカテゴリーでは画力向上のために、ためになった本、先輩に教えてもらった本を紹介していきたいと思います。

今回は、仕事を始めたころ、先輩から教えてもらったオススメ本を紹介します。
ベティ・エドワーズ著『脳の右側で描け』ワークブック(河出書房新社)です。

この記事にはこのようなことが書かれています。

  • 『脳の右側で描け』の要約
  • 『脳の右側で描け』から学べる事
  • 『脳の右側で描け』はこんな人にオススメ

この記事を読めば『脳の右側で描け』の要点が理解でき、
「さらに詳しく読んでみるか、要約だけでも満足できるか」
どうかが判断できるようになります。

『脳の右側で描け』の要約

「とにかく色々なモチーフを描いてデッサンするんじゃー!!」という根性論や感情論ではなく、科学的な視点で絵の上達方法が書かれている本です。

1.右脳(R)モードに切り替える
2.見ることに集中する
3.光と影の知覚

右脳(R)モードに切り替える

この本では最初に右脳・左脳の機能について紹介されています。
その中でも絵を描くことに最も関係のあるのは右脳。
視覚的・空間的な知覚をつかさどっています。
逆に左脳は言語による分析を得意としています。

本で紹介されているメインはいかに脳の機能をうまく使ってデッサンをするかということです。
その方法の一つが「片目をつぶって立体視を避けて見る」ことです。

普段私たちは両目で目の前の物を見ていますが、両目で見るというのは、デッサンをするときに脳によってイメージが修正され、奥行きが出て、見たままが描きづらくなります。
両方の目それぞれからみた微妙に異なるイメージが脳の働きによって融合され、奥行き知覚をもたらすそうです。

それが、片目をつぶることによって立体視を避け、見ることに集中して描けるようになるわけです。

また、「上下逆さまに見る」というのも方法です。(これは模写とかに限りますが…)
右脳モード、この本ではRモードとも言っていますが、このモードに変える方法として上下逆さまのデッサンが課題として出されています。

目に見えるものを「人間だ」「馬だ」と認識したまま描くのは、まだ左脳が脳を支配している証。
見ているものを普段と逆の向きでみると、その左脳モードが追いやられて線や形を視ることに集中できるようになります。

見ることに集中する

前述とかぶりますが、右脳を使って描くというのは「見ることに集中すること」。
そのためのツールとして、この本には「ピクチャー・プレーン」という薄いプラスチックシートの補助枠がついています。

 

↑は自分で持っているものです。裏は自分で使いやすいように段ボールで補強しています。

このピクチャー・プレーンを使った課題がたくさんあります。
この補助枠を使うと、枠を通して見ることで、線と線の距離を観察し、より見たままの絵が描けるようになります。


これは私が描いたものです。枠なしで描くよりは、よりリアルに描けてるんじゃないかと思います。
ただ、形を追いすぎてエッジの線が強くなってしまいましたが…。

他に課題としてネガ・スペースを描くというのがあります。
ネガ・スペースを描くというのは、シルエットを描く感じですね。

これは課題として載っている椅子をネガスペースを意識して模写したものです。

手にしても、椅子にしても、描くときのポイントは「人間の腕やフォルムなどの知識を頭から追いやって、目に視えるものに集中する」ことです。

光と影の知覚

これまでは見たものの線や形にフォーカスした内容でしたが、次は光と影の知覚についてです。

一番明るいところと暗いところを比較しながら描く、というのが大きなポイントです。
漫画でいうとハイライトのところとベタになるところを比較しながら物を観察するということですね。
白黒バランスは両目を細めて見るとよりわかりやすいです。

『脳の右側で描け』から学べる事

『脳の右側で描け』にはデッサンに必要な知覚技能として

1.エッジの知覚
2.スペースの知覚
3.相互関係の知覚
4.光と影(明暗)の知覚
5.ゲシュタルトの知覚

の5つを上げていますが、このブログではそれをかいつまんでご紹介しました。
より詳しく学びたい方は本を購入してみてください。

最初のほうに右脳モードになる練習として上下逆さのデッサンを少し紹介しました。
このデッサンは一番簡単に右脳を使う体感を学ぶ練習として、普段でも取り入れていきたいなあと思う方法です。
本では有名な画家を題材とした課題が色々出されていますが、これ以外でも好きなイラストやシンプルなイラストを逆さにして模写するのもいい練習になるんじゃないかなあと思いました。
実際私はアンパン〇ンとかディズニーのミ〇キーとかを逆さにして描いて、結構上手に描けたし、
体感として見ることに集中できてる状態ってこんな感じ?というのが少し掴めた気がします。

あとこの本から学べた点は「片目をつぶって対象を見る」ということです。
本書では立体視を避けるということでしたが、それ以外にも絵を描く点で利点があるように思います。
これのおかげで私は自分で描いた絵のパースの狂いがわかるようになりましたし、
時間がないけど均等に線を引かないといけないときに、感覚で引けるようになりました。
(それがいいかどうかはわかりませんが…)

『脳の右側で描け』はこんな人にオススメ

『脳の右側で描け』は画力の向上をしたい人、デッサンやってるけどなかなか上達が感じられない人にオススメです。
デッサン解説本の中でも、「右脳を使う」という科学的切り口で書いてあるので何かヒントになるかもしれません。

感想

絵の上達とは別なのですが、この本の「はじめに」のところで、先延ばしをやめて絵を描く方法が描かれていました。
先延ばし…心あたりがありすぎる…。
先延ばしも左脳(言語モード)が色々邪魔して、やらない理由を脳にとりあげてしまうからだそうです。
そうか…先延ばしになっていたのは左脳のせいだったのか…。

それを回避する方法は「2分間の奇跡」という方法で、とっかかりを少しでもいいからやってみよう、というものです。

・鉛筆と消しゴムとスケッチブックをそばにおいてみよう
・描くものの目印・下書きだけでもしておこう

こうしてちょっとずつでもとりかかることで、徐々に右脳モードで集中して絵が描けるようなります。
私としてはこの方法が結構驚きだったのですが、やってみるとなるほど!と思うところがあります。
これは絵を描くこと以外でも活用できますね。習慣化についても教えてくれるいい本だと思いました。

また、対象を片目で見るということに関しては色々得るものがあり、この本を読んでからよくやるようになりました。
仕事で漫画の背景を描いてるんですけど、片目でチェックしながら描くと均等線とか後々定規をあてても大体あってるんです…。
片目効果はやってみて自分でびっくりしました。今では必殺技のように絵を描いては少し離れて見て片目でチェックしています。
パースを理解した上で右脳を使った描き方を実践していくと背景を描くときなどよりスピードアップしていくように思います。

自分自身は漫画のアシスタントをしてるといってもまだまだ未熟な画力なので、今後もこの本の課題デッサンなどしながら上達していきたいなと思います。

 

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