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『こどもニート、大人ニート タイプ別脱出プログラム』神山新平著【要約・感想】

今回はまた、ひきこもりに関する本です。

神山新平さん著『こどもニート、大人ニート タイプ別脱出プログラム』(草思社)
を読了しましたので、その要約と感想をお届けします。

この記事にはこのようなことが書かれています。

『こどもニート、大人ニート』はこんな人にオススメ
『こどもニート、大人ニート』の著者神山新平さんはこんな人
『こどもニート、大人ニート』の要約・学べる事


この記事を読めば『こどもニート、大人ニート』の要点が理解でき、
「さらに詳しく読んでみるか、要約だけでも満足できるか」
どうかが判断できるようになります。

『こどもニート、大人ニート』はこんな人にオススメ

今回の本は、ひきこもりの家族の人にオススメの本です。
ひきこもりやニートについてタイプ別にわけ、それぞれを具体的な事例で脱出にいたった方法を紹介しているので、わかりやすいです。

ただ、ひきこもり当事者の方が読むのは、個人的にはあまりおススメできません。
著者の神山さんは、当事者の人にも読んでもらえるように書いているのですが、
たまにズバッと「こんなこと言っちゃうの!?」というようなことを自信満々に書かれているので、内容にショックを受ける方もいるかもしれません。
読む当事者の方は「何を書かれていても気にしない!現状を何としても打開したい!」ぐらい腹をくくって読まれるほうがいいかと思います…。

 

『こどもニート、大人ニート』の著者神山新平さんはこんな人

神山新平さんは放送作家・テレビディレクターで、過去に「ひきこもり特集」を制作して以来、2500人以上のニートとひきこもりを取材し、そのかたわら、彼らの社会復帰を手伝ってきたそうです。
今回の本は2008年発行で結構古いのですが、さらにその前2005年にもひきこもりに関する本を出されているようです。
残念ながら、今はどのようなことをされているかはわかりませんでした。

 

『こどもニート、大人ニート』の要約・学べること

目次は以下の通り。

【本書の内容】

1 ひきこもりの正体
2 不登校の正体
3 ひきこもりと「三つの領域」
4 ひきこもり支援団体のニート対策
5 「こどもニート」1-先祖がえり型
6 「こどもニート」2-直行型
7 「こどもニート」3-未成熟型
8 ふたつの「大人ニート」-一般的なニート/中高年ニート
9 ニートが破滅するとき
10 「こどもニート」「大人ニート」からの脱出法

次に私が気になった章を少しだけ紹介します。

1. ひきこもりの正体

タイトルにある「こどもニート、大人ニート」ですが、神山さんがたくさんの方のひきもこり、ニート脱出の手伝いをしてくる中で名付けたニートの種類の名前ですね。

神山さんは、ひきこもり、ニートと混同してはいけない、タイプ別に分けて考えると適切な解決法がとりやすいとおっしゃっています。

神山さんは「ひきこもり」を

<本来のひきこもり>とは不登校という前兆現象をへて生まれる、生徒、学生だけが陥る、特定の停滞である

と、定義しています。

そして「ニート」とは

何らかのかたちで就業とかかわった経験がある、または最終学歴である学校をすでに出た者で、明らかな理由・事情がないのに『働かない・働けない』状態になっている者

としています。

ニートの中でも

「こどもニート]=就労経験をもたず、ひきこもりと瓜二つのようになるタイプ
「大人ニート」=かつて就労した経験をもつ

と2つに分け、さらにどういう経緯を経てニートになったかで、こどもニートは3種類、大人ニートは2種類に分けられるそうです。

ひきこもり、ニートとひとくくりに言っても、それぞれ色々な経緯でひきこもり、ニートになっているので、まずはそこを把握しないといけないということですね。

ちなみに、神山さんは斎藤環先生の『社会的ひきこもり』が広く読まれてから、ひきこもりが「治療が必要な病である」とされるようになったが、ひきこもりは病気ではないとしています。

 

4.ひきこもり支援団体のニート対策

神山さんは、ひきこもり支援団体は「ニート増産機関」として、支援団体に対してかなり否定的です。
関わっている人はすべて団体と手を切ったほうがいいとも言っています。

これが当事者の方にこの本を読むのをオススメできない理由です。
現在、支援団体の方と現状脱却のために頑張っている方には、ショッキングな内容かもしれません。
気を付けていただきたいのは、これが2008年に出版された古めの本であることです。
出版してから何年も経っているので、昔の支援団体と今の支援団体と活動内容が改善されている部分は多々あると思います。
それを踏まえた上で、この本を読むといいと思います。

本書を読むと神山さんが支援団体に対して否定的な理由がわかります。

なぜかというと、支援団体は元々、

「就労経験をもたない」不登校と<本来のひきこもり>を学校に復帰させるためにできた

団体だからです。
こういった性質をもった団体が、就労経験のない学生にまともな職業訓練を受けさせずに就職させようとしたり、就労経験があるのに、初歩的な職業訓練だけやって無理に社会復帰させようとし、チグハグなことをしてきた結果、支援団体に入っていた人がもれなくニート化やフリーター化しているといいます。

社会復帰のためには、それぞれにあった対応をしないとひきこもり・ニート状態を余計にこじらせてしまう、というのはわかる気がします。

 

10.「こどもニート」「大人ニート」からの脱出法

この章では「こどもニート」「大人ニート」からの脱出法が書いてあります。

当人と親が自分でおこなってさしさわりのない範囲で、それぞれの状態を改善していく方法が紹介されています。

この章までにも、神山さんがおこなってきた様々な解決法が紹介されているのですが、この章ではタイプ別に社会復帰のために何が必要か、ということにポイントをおいて脱出法が紹介されています。

 

以上、「こどもニート、大人ニート」の要約でした。

気になる方は是非お手にとってみてください。

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感想

今回の本は、かなり人を選ぶなあと思いつつ、学んだことも色々あったのでご紹介させてもらいました。

神山さん自身がやっていた解決方法というのが主に、手紙やメールで当事者の方と信頼関係を作り、その上で当事者の方の気持ちが動いたときに、それに沿って必要な情報を提供したり、興味のありそうなところに連れていったりといった方法でした。
うちの弟もそういった第3者の関わりが欲しいところです。ひきこもりの方がどんどん増えているこの世の中で、こういった支援をしてくれる人がもっと増えて欲しいなと思いました。

うちは家族で支援団体にたまに相談しに行ったり、グループミーティングに行ったりしていますが、そこでの話合いは、就労経験ある・なしなど個々の状況に関わらず、一緒くたに話をするので、全然解決策も見えず、毎回同じことの繰り返しだなあと思っていました。
この本自体古いですし、今全国の支援団体がどうなっているかはわかりませんが、当事者がひきこもりなのか、ニートなのかで、課題や対応が変わってくるので、そこの区分けをして話合いや相談会があるといいなと思います。

神山さんのタイプ別が最初、独特に感じてわかりにくいと思ったところはあったのですが、不登校の経験はあるか、就労経験はあるか、などのタイプ別を見ることで、次に何をすべきかが見えてきたので読んで良かったと思います。

とりあえず、この本によるとうちの弟は「一般的ニート」にあたり、STEP1はハローワークなどの公的な機関を使って「就職活動をすること」でした。
弟に「就職」の「就」の字も言えない自分としてはかなり高いハードルなので、様子見しつつ、色々模索しようと思っています。
もっとこの本に早く出会いたかったなー。

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