今回はひきこもりに関する本です。
ウチでは弟がひきこもりになっており、今の状況を脱出するべくひきこもりに関する書籍を読んでいます。
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斎藤環さんの『「ひきこもり」救出マニュアル(実践編)』(筑摩書房)
を読了しましたので、その要約と感想をお届けします。
この記事にはこのようなことが書かれています。
『「ひきこもり」救出マニュアル(実践編)』の著者斎藤環先生はこんな人
『「ひきこもり」救出マニュアル(実践編)』の要約・学べる事
この記事を読めば『「ひきこもり」救出マニュアル(実践編)』の要点が理解でき、
「さらに詳しく読んでみるか、要約だけでも満足できるか」
どうかが判断できるようになります。
『「ひきこもり」救出マニュアル(実践編)』はこんな人にオススメ
家族にひきこもりの人がいるけど…
「どう接していいかわからない」
「どうやったら『ひきこもり』状態から抜け出せるのか全くわからない」
…など、ひきこもりの方の家族の人にオススメです。
本書では精神科医である斎藤先生がQ&A方式で具体的なアドバイスをしてくれています。
『「ひきこもり」救出マニュアル(実践編)』の著者斎藤環先生はこんな人
斎藤環先生は精神科医で「ひきこもり」問題の治療、支援ならびに啓蒙活動、講演会など様々な活動をされています。
今回ご紹介する本は、2002年7月にPHP研究所より刊行された斎藤先生の『「ひきこもり」救出マニュアル』が、<理論編><実践編>に分けて文庫化されたものの実践編のほうです。
理論編ももちろん大事ですし勉強になるのですが、今回はすぐ生活にとりいれ、実践できるようなアドバイスの詰まった<実践編>を自分の感想や体験談も交えながらご紹介したいと思います。
『「ひきこもり」救出マニュアル(実践編)』の要約・学べる事
目次は以下の通り。
1 コミュニケーションのとり方
2 家庭内暴力をなくす方法はある
3 生活上のトラブル解決法
4 父親・母親・きょうだいの対応の仕方
5 心配な行動にどう対処するか
6 経済的にどう支えるか
7 独り暮らしをさせるべきか
8 インターネットは必需品
9 社会参加は焦らずに
10 元気になりたい
11 社会的サポート
次に私が気になった3つの章を少しだけ紹介します。
1. コミュニケーションのとり方
斎藤先生は、ひきこもり事例を抱えた家族には「コミュニケーションの欠如」が問題の一つにあるとおっしゃっています。
まずは前提として両親の間での意思疎通ができていること。両親の一致団結した対応。これをすっとばしてしまうと、本人と向き合っても回り道になってしまうとのことです。
そしてコミュニケーションで大事なのは「声かけ」。
挨拶をはじめとして、日ごろから声かけをするのが大事だそうです。
これは自分の家族でも大事にしています。
本人が起きてきて、顔を合わせたら「おはよう」。ご飯ができたときの声かけ。お風呂から上がったときの声かけ。…など。
本人から返事が返ってこなくてもマメにするのが重要です。
一緒に食事をするのも重要だそうです。会話をしなくても「一緒に食事をする」というのだけで、会話と同等ぐらい意味あることだそうです。
そして話かけるときに大事なのは「相互性」。
『相手の言ったことをちゃんと聞き、よく理解し記憶して、その内容に見合った返答をする。』
本人に言いたいことがあっても、まずは相手の話をよく聞く。そしてそれに答える。
その繰り返しがコミュニケーションの向上につながっていくんですね。
この章ではそのほか、
・議論と説得をしてはいけない
・聴き方の原則論
について説明されています。
ひきこもりになっている本人に話しかけるには色々気にしないといけない点がありますが、一番の対応の基本は「誠実」かつ率直な『正攻法』だそうです。
何を話しかけるか迷ったときはこれを胸において考えたいと思います。
4.父親・母親・きょうだいの対応の仕方
「ひきこもりの治療の中心はあくまでご両親です」
と斎藤先生は本書の中でおっしゃっています。
ただし、両親と本人との距離感が大事なようで、両親自身がまず外へ出る活動をする(サークル活動や趣味など)のが本人を外へ誘いだすのにいいみたいです。
率先して両親が行動するのが大事なんですね。あとは両親自身がストレスを溜め込んでしまわないように気分転換をすること。
この章ではそのほか、父親・母親・きょうだいと本人との関わりかたについて、色々なケースでアドバイスされています。
ひきもりには様々なケースがあると思うので、興味のある方は是非本書で読んでみてください。
6. 経済的にどう支えるか
この章ではお金に関することが色々な視点で書かれています。
・不当な要求をされた場合
・お小遣いについて
・家事に対するアルバイト料
・両親が高齢の場合の経済的な問題。
お金は生活に密接に関わってくる問題です。
将来的な金銭問題も見据えつつ、お小遣いやアルバイト料などをうまく活用して、外出や家族以外の第3者とコミュニケーションをとるところまでうまくもっていきたいところです。
以上、「ひきこもり」救出マニュアル(実践編)の要約でした。
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そもそも「ひきこもり」とはなんぞや?「ひきこもりの治療」とは?などもっと詳しく知りたい方には理論編もオススメです。
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感想
最初に述べたのと重なりますが、私はひきこもりになっている人の姉です。
ひきこもりに関して色々調べたり、動いたりしているのですが、一番ひきこもり脱出に大事なのは両親とのコミュニケーション、ということでした。
むしろ、「きょうだいは『ひきこもり』の対応にあまり関与すべきではないと考えている」と斎藤先生はおっしゃっています。
それに関しては結構ショックでしたが、きょうだいがずっと支援できるかというとあやふやですから、納得するところではあります。
…とはいえ、本人の雑談に付き合ったり、両親にひきこもりに関する情報を提供するのは大丈夫みたいなので、
今後もひきこもりに関する読書などは続けていきたいと思います。
ウチの弟はひきこもって8年ぐらいになりますが、「ひきこもりを長期化させるのは家族間のコミュニケーション不足」という説明があり、これも衝撃を受けました。
家族で外食したり、外へ出かけたり…というのは月1ぐらいの頻度でやっていたのでコミュニケーションとれていたと思っていたのですが…。(今はコロナで外出控えてます)
しかし、第一章のコミュニケーションのとり方を読んでいると、意外とできてないことが多く、それが状況の停滞につながっているのかもしれないと考え、勉強になりました。
実際、声かけを続けることによって、家族バラバラにご飯を食べていたのが、昼ご飯は一緒に食べれるようになりました。(父親抜きですが)
また、弟はアトピー性皮膚炎を小さい頃からもっていて、それが睡眠不足や精神不安定になる一つの要因になっているのですが、お小遣いをあげることによって、自分で皮膚科に病院治療に通ったり、散髪などに出かけるようになりました。
この本はだいぶ昔に発行された本ですが、読むたびに発見が多く、次に行動するきっかけをもらえる気がします。
今後は斎藤先生の新しめの本も読んでいきたいと思います。